息子が燕山君
韓国時代劇でも賜薬の場面がよく出てきます。毒薬は主に砒素で作られましたが、さらにトリカブトを混ぜていました。
ドラマでは毒薬を飲んだ人はあっという間に死んでしまいます。けれど、実際は絶命するまでに5時間ほど要しました。いわば長く苦しんで死ぬわけで、賜薬は名誉があっても辛い刑死でした。
思い出すのは、『宮廷女官 チャングムの誓い』の冒頭の場面です。白装束の元王妃が無理に毒薬を飲んで絶命する場面が出てきます。そのときの元王妃が斉献王后でした。彼女は毒薬を飲んだあとに白い布に血を吐き、「これをぜひ息子に……」と言って亡くなっていきます。
このときの話に出てきた息子というのが、まだ物心つく前の10代王・燕山君(ヨンサングン)です。成宗の長男にあたります。
母親が亡くなったいきさつを幼い燕山君は知りませんでした。父親の成宗も、「今後一切、この話はするな! 絶対に息子に事実を言ってはいけない」と周囲に厳命していました。
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