正常な判断ができない
燕山君は、王の威厳を取り戻すために、李佐世に厳しい罰を与えようとした。
「今すぐ、こいつの首をはねよ」
しかし、その命令は実行されなかった。
普段は歯向かわない臣下たちも、酒をこぼしただけで同僚を殺すことなど到底できなかったのだ。
「李世佐は高い官職にある人物でございます。それを簡単に殺してしまっては、宮中が混乱してしまいます。どうか寛大なご判断をお願いします」
多くの臣下たちに止められた燕山君。彼はもはや正常な判断ができなかった。
「もうよい、李世佐については、家族全員の官職を没収した上で、都から追放せよ」
燕山君はここまで処罰するのが精一杯だった。
この一件はこれで済んだが、さらに、燕山君から宮中へ来るように言われた高官が、その呼び出しを無視する事件まで起きた。
もはや、燕山君の権威は完全に失墜していた。
「王に歯向かうとは……。ただでは済まさんぞ」
その怒りが、後に大虐殺事件に発展してしまうのだが……。
文=慎 虎俊(シン・ホジュン)
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