憎まれた悪女
燕山君は迂闊(うかつ)だった。
彼は反乱が起きることを予測しておらず、クーデターの一派が王宮に入ってきたとき、ただブルブルと震えていたという。
あまりにお粗末だった。
結局、燕山君は王位を追われて流罪となった。正妻だった慎氏(シンシ)は廃妃となり、その他に燕山君の取り巻きたちも処罰された。
極刑になったのが張緑水だった。
彼女は斬首となった。
その遺体はしばらく市中にさらされた。見せしめである。
遺体に向かって多くの民衆が唾を吐いて石を投げつけた。暴政のせいで生活が苦しくなった恨みを露骨にぶつけたのである。
たちまち石塚ができるほど、張緑水は憎まれていた。
末路はあまりに悲惨だった。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
燕山君(ヨンサングン)と仁粋(インス)大妃!祖母と孫の不幸な関係
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