歴史こそが最高のネタ
歴史はあくまでも記録でしか証明できません。歴史書の『朝鮮王朝実録』にどういうふうに書かれているかということが、後世に残ります。燕山君は確かに酒池肉林で政治をおかしくしたり残虐なことをした最悪の王ですが、同じようにクーデターで追われたといっても光海君は、悪い政治はしていません。
むしろ、大同法の施行という農民の減税につながるような政治を行なっています。そして、中立外交で明と後金の間に入って、うまく立ち回って朝鮮半島に害がおよばないようにしているのです。
そういう意味では卓越した政治家だったと思いますが、現実問題として兄と弟を殺しています。特に、義母にあたる仁穆(インモク)王后の怒りがすさまじかったのです。彼女にしてみれば、自分の子供が殺されているわけですから光海君が憎くて憎くて仕方がなかったことでしょう。
こうした様々な因縁が、現在の韓国時代劇の核になっています。
なぜ韓国時代劇が面白いかというと、朝鮮王朝を舞台にした骨肉の争いが刺激的なストーリーの「生みの親」になっているからです。歴史こそが最高のネタなのです。
文=康 熙奉(カン ヒボン)