広範な層に支持されるキャスト
このように見どころ満載の『太陽を抱く月』だが、時代劇ファンであれば誰もが知っている実力派の名優たちが演技を競う点も、もちろん見逃せないところだ。
まずは、主人公フォンの祖母であり、王宮を意のままにコントロールしようと画策する大王大妃(テワンテビ)にキム・ヨンエ。大妃の側近で、王朝における絶対権力を手にしようとする外戚(王妃の親族)の領袖にはキム・ウンスが扮する。
また星宿庁の国巫(クンム)、チャン・ノギョンを演じるのがチョン・ミソン。ヒロイン、ヨヌの母にはヤン・ミギョン、そしてフォンの父を演じるアン・ネサンなど、そうそうたる顔ぶれがそろった。
時代劇を魅力的にする大事なポイントは子役であろう。子役が視聴者を引き付けられるかどうかも、そのドラマが成功するかどうかの重要な羅針盤となる。
その意味でも、本作は大成功だったと言える。「国民の妹」と称され、『トンイ』でもおなじみのキム・ユジョンが演じた、ヨヌの少女時代は相変わらず愛らしい。
とはいえ、キム・ユジョンも13歳。大人への階段を着実に上る彼女が、その演技力もいっそうステップアップしているところを確認するのも、また楽しい。
フォンの少年時代を演じるヨ・ジングも、純粋にヨヌを愛する姿勢や、やがて王になる自分を律する覚悟をよく表現した名演技を見せてくれる。
キム・ユジョンとヨ・ジング、2人の子役のピュアな恋物語を見ていると思わず頬がゆるむこと、請け合いだ。
ドラマでは、この子役から大人役へと、いかに自然な形でバトンタッチされるかも非常に重要なポイントなのだが、この点でも本作は申し分ないスムーズな「継承」を実現させている。
大人になったフォンを演じるキム・スヒョンは、若き王としての自負と、ヨヌへの気持ちが捨てきれないナイーブさとを併せて表現。また本作が初の時代劇となるハン・ガインも、「2つの太陽」のあいだで揺れ動く女性ウォルの心情を巧みに表している。
このほか、ファンにはたまらない美少年がラインナップされているのも大きな見どころだ。
ヨヌの兄ホ・ヨムの少年時代を演じるのは、K-POPグループZE:Aのイム・シワン。そして陽明君の少年時代はイ・ミノと、若く美しい俳優たちが扮している。この2人に先のヨ・ジング、そしてフォンの護衛官キム・ジェウンの少年時代を演じるイ・ウォングンを加えた「イケメン4人組」は女性ファンの心を確実にとらえた。
年齢や性別を問わず、あらゆる視聴者の心をときめかしてくれる、パーフェクト・ドラマ――『太陽を抱く月』のそんな魅力は、ここに紹介したキャスティングでも明瞭に示されている。(ページ4に続く)