演技に対する強烈な執着
病人を身分差別することなく診るといったストーリーだけなら、これほど大ヒットすることはなかっただろう。『ホジュン』の最大の魅力はまさにどこにでも居そうな人間が変身したという点にある。
若い頃は悪事にも手を染め、酒に溺れ、結婚した後は別の女性にも恋をするといった人間が、やがて偉大な医師になるという意外性が視聴者の共感を呼んだのである。この主人公をチョン・グァンリョルは好演して評価を不動にした。
さらに、2006年には『朱蒙』で強烈なカリスマ性を持つクムワ王に扮した。絶対的な権力を握る王として君臨するが、その内に秘めたものは友と最愛の女性に全てを捧げる犠牲的精神だった。この役もチョン・グァンリョルにピッタリである。
「まだまだやっていきたいことはたくさんあります。私の演技に対する情熱は、とどまることを知りません。これからも様々な役柄を演じて表現していきたいのです」
そう語るチョン・グァンリョル。長い下積みを経験した彼は、泥臭い役にリアリティを持ち込むことが巧みだ。
「死ぬまでではなく、死んでからも演じていくことが僕の夢です」
そう語ったこともある。
「死んでからも演じる」というのは、演技に対する強烈な執着を感じる。
なんといっても、演技に対するほとばしる熱情が、チョン・グァンリョルの最大の魅力だ。『テバク』でも、物語を大きく動かす重要な役を彼らしい個性で演じている。