チャン・グンソクが主演した『テバク』は、朝鮮王朝の17世紀末から18世紀前半にかけてが舞台になっている。実在の人物が多く登場するが、とりわけ異彩を放っていたのが李麟佐(イ・インジャ)だった。果たして、何者なのか?
急死した景宗
李麟佐が歴史的に登場する背景を見てみよう。
時は1720年だ。
朝鮮王朝の19代王・粛宗(スクチョン)が亡くなり、景宗(キョンジョン)が20代王として即位した。
景宗はあの張禧嬪(チャン・ヒビン)の息子であった。
その当時、景宗を支持する少論派と、景宗の異母弟の英祖(ヨンジョ)を支持する老論派の主導権争いが激しかった。
そんな最中、景宗が即位からわずか4年で世を去ってしまった。結果的に、景宗には子供がいなかったので、英祖が即位することになった。
しかし、少論派は「英祖が景宗を毒殺した」と猛反発した。
そうした少論派と結託する形で1728年に大々的な反乱を起こしたのが李麟佐だったのである。
彼はもともと清州(チョンジュ/都から東南側に130キロ離れた都市)に住んでいたが、郎党を率いて清州城を攻めて占領した。(ページ2に続く)