過去20年間、韓国時代劇は制作面で大いに発展してきました。その中で、制作の流れを見ていると、4つの大きな潮流がありました。それを順番に見ていきましょう。
長編大作の時期
1つ目の潮流は、1990年代後半から2000年にかけて生まれた『龍の涙』『王と妃』『女人天下』などの長編大作です。これらの作品は、朝鮮王朝の歴史にわりと忠実につくられたドラマでした。
朝鮮王朝の正式な歴史書は「朝鮮王朝実録」です。原文は漢文で、1993年にハングル版の翻訳が完成しました。このハングル版は、1日に100ページ読み進めたとしても、読み終わるまでに4年半かかるという膨大な書物です。
このハングル版の刊行によって、韓国の一般の人も「朝鮮王朝実録」を読むことができるようになりました。
冒頭の3作品以前の韓国時代劇は同じネタのくり返しが多く、人気も今ひとつという印象でした。そこに、「朝鮮王朝実録」の史実を反映させた大作ドラマが立て続けに登場し、人気を博すことになったのです。その結果、時代劇の好企画が多く生まれ、人材も多く投入されるという好循環のサイクルに入ります。(ページ2に続く)