朝鮮王朝の初代王物語(後編)

 

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野心を持った5男

新たな王として国家の礎を築いた太祖(テジョ)。彼が盤石な王政を築けたのは、妻の神懿(シヌイ)王后から生まれた芳雨(バンウ)、芳果(バングァ)、芳穀(バンイ)、芳幹(バンガン)、芳遠(バンウォン)、芳衍(バンヨン)の6人の息子たちの力が大きかった。
特に、最大の功労者である5男の芳遠は、太祖の邪魔になる者をとことん排除してきた。そんな彼が野心を抱いても不思議ではない。
「当然、父上の後継ぎは私だ」
そう確信していた芳遠の思惑は大きく外れてしまう。太祖は第二夫人の神徳(シンドク)王后に頼まれて、彼女との間に生まれた7男芳蕃(パンボン)、8男芳碩(パンソク)を重んじるようになった。




その中でも、後継ぎに指名されたのは芳碩だった。
「なぜだ! 兄上たちならばいざ知らず、なんの功績も残していない芳碩が後継ぎになるなんて。こんなことがあってたまるか」
芳遠の燃えさかる憎悪の炎は、たちまち宮中に知れ渡るようになる。
芳遠の怒りに感づいた芳碩・擁護派の鄭道伝(チョン・ドジョン)は、芳碩の6人の異母兄たちを排斥しようとした。
1398年、鄭道伝は6兄弟の元に伝令を走らせた。
「国王が危篤であるために大君様たちは、すぐに王宮に集まってください」
この報を受けて、他の兄弟たちは一目散に王宮に駆け込んだが、芳遠だけは用心深く事態を分析していた。(ページ2に続く)

朝鮮王朝の初代王物語(前編)

朝鮮王朝の初代王物語(中編)

朝鮮王朝の国王はどんな存在だった?



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