廃された世子
イ・サンはすぐに帰されてしまった。この一件は彼の心に深い傷を残した(14年後にイ・サンは22代王の正祖〔チョンジョ〕として即位したが、父を陥れた者たちを厳しく処罰している)。
観念したイ・ソンは、父の命令に従って自決しようとした。しかし、イ・ソンの側近たちが必死になって止めた。
その行動は英祖の怒りを増幅させた。
英祖は護衛兵に命じてイ・ソンの側近たちを追い出してしまった。
そのうえで、英祖は厳しく言った。
「たったいま世子を廃した。史官はちゃんと聞いていたのか」
史官は正式な記録を残す官僚だ。
英祖は、王命を正式な文書に残すことを厳命した。
イ・ソンは、再び地面に額をこすりつけて哀願した。
「過ちを改めます。今後は正しく生きます。どうかお許しください」
英祖はイ・ソンを許すどころか、さらに息子を追い込んだ。
(ページ3に続く)
イ・サン(正祖〔チョンジョ〕)は本気で都を水原に移そうとした!