死後も続く悲劇
こんな噂が世間に広まった。
世祖は夢の中で顕徳(ヒョントク)王后からツバをはかれたのだという。この顕徳王后は端宗の生母である。
「よくも愛する息子を殺したな」
世祖の夢に出てきた顕徳王后は、鬼の形相で世祖にツバをはいた。それが原因で世祖の顔に皮膚病が広がったという。
「まさか、本当に呪いなのか」
心を惑わせた世祖は、仏教に救いを求めたが、果たして安寧は得られたのだろうか。彼は1468年に51歳で世を去った。
彼の死後にも悲劇は続く。
世祖の後を継いで8代王になった二男の睿宗(イェジョン)も兄と同じく19歳で世を去った。
世祖の因果応報は、彼の死後も続いたのである。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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