廃妃(ペビ)という呼称
光海君と柳氏は息子夫婦と一緒に江華島(カンファド)に流罪となった。
その途上の船の中で、柳氏は光海君に自決を迫った。
「生きて恥さらしになるより、潔く死にましょう」
そう言い寄った柳氏。傲慢な女性であったが、自分たちの敗北を認め、死を選ぶことで恥の上塗りを避けようとした。
しかし、光海君は応じなかった。
彼は廃位になっても生に未練がありすぎた。
それは、悲劇の連鎖という運命を招いた。江華島に着いたあと、息子夫婦は逃亡を画策したことが発覚して自決した。
この出来事は柳氏に最後の決断を促した。彼女は息子の後を追うように首をくくって死んだ(病気で世を去ったという説もある)。
今でも彼女を語るときに廃妃(ペビ)という呼称がつきまとう。罪人として死んだために尊号を受けられず、他にたいした呼び方がないためだ。
それは、なんと不名誉なことであろうか。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
仁穆(インモク)王后はどうしても光海君(クァンヘグン)を斬首にしたかった!