キム・スヒョン主演!フュージョン時代劇の究極形『太陽を抱く月』

 

純愛、運命、陰謀、そして闘争……。時代劇の主要エッセンスをもれなく網羅した本作品。史実から自由な発想のもとに制作され、広範な層の熱烈な支持を得る、新感覚の国民ドラマとなった。

巧みな比喩が強い印象を与える

この作品について真っ先にふれるべきは、そのタイトルの秀逸さである。
『太陽を抱く月』。この詩情あふれる言葉、響きを目にし、耳にする誰もが、各々のイメージをふくらませずにはいられない。それらの心象風景に通底しているのは、本作の最大のテーマ「愛」ということになろう。
本作における「太陽」は2つ存在する。一人が朝鮮王のイ・フォン(暄)、もう1人がフォンの兄、陽明君(ヤンミョングン)である。この2人の前に、ヒロインである「月」、ウォルが登場する。はじめはホ・ヨヌとして……。
「ヨヌ」は「煙雨」であり、風のように静かに降る霧雨である。いわゆる天気雨、つまり太陽が顔を出しているときに降る雨は煙雨であることが多い。ここから、ヨヌもときには太陽とともにある存在であることが示される。
このように巧みな比喩が散りばめられることで、視聴者は冒頭からドラマに強く引き込まれていく。




フォンは世子(王の後継者)時代、少女ホ・ヨヌと運命的な出会いをし、たちまち初恋をする。2人はめでたく婚礼まで進むのだが、ヨヌは世子嬪となる寸前で原因不明の病にかかり、命を落としてしまう。
8年後、王に即位しているフォンはヨヌへの思いが断ち切れず、半ば世捨て人のような空虚さを心に抱いていた。
そんなフォンの前に、実は生きており、恋の記憶を失ったヨヌが、巫女ウォルとして現れる。
そしてもう1つの太陽であり、ヨヌを愛していた陽明君もまた、ウォルに恋愛感情を抱く。フォンの異母兄である陽明君は、王位や父・成祖(ソンジョ)の愛情をあきらめ、それらを弟のフォンに譲るのだが、ウォルのことだけはあきらめきれないのだ。
同じ太陽でありながら、国の太陽として輝くことをめざすフォンに対し、ウォルの心の中の太陽として生きようとする陽明君。その立場は両極にあると言える。
互いに強い磁力をはたらかせる、この2人のあいだにウォルが配される図は、いわば「究極の三角関係」とでも言えるだろうか。
2つの太陽と1つの月。月は太陽のあたたかい光を受けて輝き、また太陽の動きを優しく見守る、すなわち太陽を抱く。しかし、同じ空に同時に2つの太陽が輝くことはやはり、許されないことなのだ。
運命の荒波にもてあそばれる3人の“愛”のかたち。それこそが、『太陽を抱く月』のストーリーの根幹を成すテーマである。(ページ2に続く)

韓国時代劇の傑作紹介1『朱蒙(チュモン)』

朝鮮王朝の初代王物語(前編)

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