ドラマ『イ・サン』は、朝鮮王朝後期の名君と讃えられた22代王・正祖(チョンジョ/在位は1776~1800年)の一代記だが、同時に、王を取り巻く女性の立場を明確に見せてくれた作品であった。その中で、特に興味深かったのが妻の孝懿(ヒョイ)王后だった。
9歳で結婚
ドラマ『イ・サン』は、イ・サン(後の正祖)の父の思悼世子(サドセジャ)が、英祖(ヨンジョ/在位は1724~1776年)の怒りを買って米びつに閉じ込められている場面から始まる。結局、思悼世子は餓死してしまい、イ・サンが世子(セジャ/王の後継者)になっていく。
史実でいえば、思悼世子が亡くなったのは1762年でイ・サンは10歳だった。この年に彼は結婚して妻がいた。後の孝懿王后である。
彼女は9歳だった。
その当時、庶民は10代後半に結婚するのが一般的だったが、王族の男子の場合は10歳頃に妻をもらうのが当たり前だった。そういう意味では、イ・サンの結婚も王家の常識に沿っていた。
ただし、肉体的に成熟していないので、形だけの夫婦と言っていい。
イ・サンが即位して正祖になったのは1776年だった。
それにともなって彼の妻は孝懿王后となった。
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正祖(チョンジョ)の改革をつぶした貞純(チョンスン)王后/朝鮮王朝歴史全集16