仁祖は何度も貞明公主を疑った
張維は、仁祖の二男の鳳林(ポンニム/後の17代王・孝宗〔ヒョジョン〕)の岳父である。
しかも、仁祖がクーデターを成功させたときの功労者だった。
その張維が何度も仁祖を諭した。
「公主様に疑いをかけてはなりませぬ」
この言葉によって、仁祖は貞明公主を処罰することができなくなった。
いわば、貞明公主は張維によって救われたのだ。
しかし、仁祖はまったく懲りない。後に再び病に伏せたとき、またもや彼は貞明公主の呪詛を疑った。
これは、明らかなイジメであった。
このときも有能な高官の説得によって貞明公主は処罰を免れている。
クーデターを果敢に成功させた仁祖であったが、即位後は失政続きであった。その鬱憤(うっぷん)を貞明公主に向けたのかもしれない。
疑われた貞明公主こそ本当にいい迷惑だが、彼女は幸いにも有能な高官によって何度も救われた。
人望があったから、周囲の支持が高かったのである。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
『華政』の貞明公主(チョンミョンコンジュ)はなぜ大地主になれたのか