広開土大王(クァンゲトデワン)はどんな英雄だったのか

 

「古代から高麗王朝時代までの朝鮮半島で最も尊敬する大人物は?」という質問を現在の韓国で投げかけたら、間違いなく広開土大王(クァンゲトデワン/375年~413年)の名が一番多くあがるだろう。朝鮮半島から中国東北部にかけて広大な領土を持った大帝国を築き上げたという意味で、彼ほど韓国人の自尊心を充足させる英雄は他にいない。




少年時代の逸話

よく知られる「広開土大王」という名は諡(おくりな)で、もともとの名は「談徳(タムドク)」という。
子供の頃から志が高かった。
あるとき、能力が抜きんでた野性の馬を与えられた。談徳は乗馬が巧みなのだが、この馬だけはどうしても手なずけることができなかった。すると、気をきかした側近が他の扱いやすい馬と代えようとした。
談徳にはこれが気に入らなかった。
「馬一頭に手こずっていて、どうして我が大軍を率いることができるのか。よけいなことをするな!」
家臣を一喝して、談徳は野性の馬に立ち向かった。




しかし、相変わらず落馬ばかり。最後には、談徳を振り落とした馬は遠くに逃げ出そうとした。
怒った談徳は、馬に向かって弓を引いた。腹の中は煮えくり返っていた。それでも、彼は弓を放たなかった。自分の未熟さを恥じたのである。
馬に逃げられ、気落ちしながら帰途についた。城門の前に来たとき、後ろから蹄(ひづめ)の音がした。振り返ると、逃げた馬が戻ってくるではないか。
それでも、知らんぷりをして談徳が城の中に入ろうとすると、馬は彼の前でピタリと止まった。
「よし、俺の言うことを聞くんだな」
談徳が馬にまたがると、馬は彼の意のままに動いた。少年時代の談徳にとって、野性の馬を手なずけたという自信は大きかった。
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