手のひらを返した仁祖
さらに、仁祖は貞明公主に豪華な屋敷と広大な土地を与えている。仁祖はそこまで気をつかっていたのである。
それゆえ、『華政(ファジョン)』で描かれている仁祖と貞明公主の確執は、仁祖の即位当時にかぎると、史実とは違っていたのだ。
しかし、そんな仁祖が手のひらを返すときがやってくる。それは、仁穆王后が1632年に48歳で亡くなったあとだった。
仁祖はとたんに貞明公主に冷たくなった。まるで「もう用はない」という態度を取るようになったのだ。
このあたりは、仁祖の狡猾な性格が見え隠れしている。
『華政(ファジョン)』で貞明公主は、仁祖に対して呪詛(じゅそ)をした容疑をかけられる。
完全に仁祖の捏造であったのだが、史実でも似たような事件が起こっている。(ページ3に続く)