気が不足している
李時秀が「優秀な医官を呼んでありますので脈をお取りになったらいかがですか」と言うと、正祖は嘆息しながら言った。
「今の世に病のことをすべて知っている医官がどこにいるというのか」
こう言われてしまっては臣下も返す言葉がない。それを察して、正祖はあとに言葉をつなげた。
「まあ、せっかくだから医官をここに呼べ」
呼ばれた数人の医官が正祖の脈を取り、「気が不足しているのは昨日と同じでございます」と言った。
すると正祖はこう質問した。
「煎じ薬をどのようにすれば良いのか」
それに対して医官は答えた。
「気を補う薬を使いながら、脾臓を温かくする必要があります」
その答えを受けて李時秀が言った。
「医官たちに適切な煎じ薬を相談させて、最良のものを決めます」
しばらく後に、李時秀が煎じ薬を持ってきた。
(次回に続く)
文=康 熙奉(カン ヒボン)
出典=『実録!朝鮮王朝物語 「トンイ」から「イ・サン」編』
朝鮮王朝実録を読む4/「正祖毒殺疑惑」
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