朝鮮王朝27人の王の中で、名君として尊敬を集める正祖(チョンジョ)の波乱に満ちた生涯を描く長編時代劇『イ・サン』。時代劇の巨匠イ・ビョンフン監督が織りなす壮大な物語は、父と子(孫)、母と子、組織におけるリーダーシップ、王がめざすべき政治の根本、永遠の友情、究極の愛……など、心を揺さぶる様々なテーマを幾重にも織り込んだ“感動の玉手箱”のような作品だ。
聖君と称される王の人間としての歩み
『宮廷女官チャングムの誓い』『商道(サンド)』『ホ・ジュン~宮廷医官への道~』など、多くの傑作時代劇を手掛けてきた巨匠イ・ビョンフン監督と、『火の鳥』『チェオクの剣』などの作品で日本でも人気の高いイ・ソジンがタッグを組んだ長編時代劇『イ・サン』。
2007年に韓国で放送された時には、最高視聴率38・9%を記録した。あまりの人気の高さに、当初は全60話の予定を全77話まで延長したほどだ。
『イ・サン』は、朝鮮王朝518年の歴史の中で、もっとも波乱万丈な生涯を送った22代王・正祖(チョンジョ)の物語。タイトルを王の尊号「正祖」でなく、本名の「イ・サン」としたのは、イ・ビョンフン監督が、「人間としての正祖を描きたかった」という理由からだ。
先進的な思考と統率力によって、朝鮮王朝の文化・経済を大きく発展させ、朝鮮王朝の“ルネッサンス期”を築いたと言われる正祖。これまでも、正祖の治世を描いたドラマはあったが、正祖の幼年時代から最期までを丁寧に描ききった作品は『イ・サン』が初めてである。
ドラマでは、正祖の生涯をたどる一方で、当時の王朝で行なわれていた様々な行事や、宮中における様々な仕事を詳しく紹介している。
例えば、宮廷行事の記録などを絵に残す図画署(トファソ)の仕事もその1つ。後にイ・サンの側室となるヒロインのソン・ソンヨン(ハン・ジミン)は、この図画署の所属で、画員たちの日常が丁寧に再現される。(ページ2に続く)
朝鮮王朝実録を読む4/「正祖毒殺疑惑」
英祖(ヨンジョ)と正祖(チョンジョ)!激動の朝鮮王朝史8