ついに息子が皇太子に!
皇帝の息子を産んで、奇皇后も強気になった。
もともと欲が深い女性だった。彼女は高龍普と結託して皇室の財政を手中に収め、政治にも介入するようになった。
最終的には政権の人事権を握った奇皇后。同郷の宦官を軍事の最高責任者に任命することで、強力な武力までその手に納めた。
そんな奇皇后が一番願ったのは、わが子のアユルシリダラを皇太子にすることだった。しかし、これは難題だった。
なにしろ、正室のバヤン・フトゥクの目が光っていた。側室に過ぎない奇皇后の息子を皇太子にすることは重臣たちが許さなかった。
しかし、すでに元で権力を握り始めていた奇皇后は、出世欲にかられた重臣たちを1人ずつ取り込み、用意周到に自分の味方を増やしていった。
そして、1353年にアユルシリダラは皇太子に任命された。(ページ3に続く)