- 2017-8-29
- 韓国時代劇紹介
俳優たちの熱演に注目
世宗役は、「スクリーンの帝王」の異名をもつ韓国映画界の重鎮ハン・ソッキュ。1994年に放送された『ソウルの月』以来、17年ぶりのドラマ出演は大きな話題となった。
しかしハン・ソッキュが演じた世宗は、今まで知られてきた世宗とは違った一面をのぞかせる。
『根の深い木』に出てくる世宗は、完璧な聖君の姿ではなく、ことあるごとに不平不満を漏らす1人の人間として描かれているのだ。
既存の世宗像を壊したハン・ソッキュ。彼は韓国で最も尊敬される偉人を演じることについてこう語った。
「わが国を率いる優れた指導者像を表現したいのです。国民が持つ不満や物足りなさを、世宗を通して気づいてほしいと思います」
さらにハン・ソッキュは、世宗を演じる上で注意した部分を教えてくれた。
「多くの方が固定観念を持っている人物、それが世宗です。朝鮮王朝時代では暴君といえば燕山君(ヨンサングン)、最も尊敬を受ける王といえば世宗といわれています。時代、環境によっては、人は燕山君にもなりますが、その渦中において自身の心をよく磨き上げれば世宗のような人物になれると考えました」
“完璧な名君”というイメージにとらわれた世宗。そこに新たな解釈を加えるのは、並大抵のことではない。しかし名優ハン・ソッキュの卓越した演技力は、新たな世宗の姿を周囲に認めさせた。
一方、連続殺人事件を追う武官チェユンを演じるチャン・ヒョクの演技も絶妙だ。チェユンは幼い頃に太宗(世宗の父)によって家族を殺され、その犯人が世宗であると誤解し、復讐のために名前を変えて武官となったのだ。
見事な演技を披露してくれたチャン・ヒョクだが、実はチェユンを演じることに、最初はそれほど乗り気ではなかったという。
「カン・チェユンというキャラクターに対し、あまり魅力を感じられませんでした。原作には面白いキャラクターが多いので、カン・チェユンを演じたいという気持にならなかったのです。しかしシノプシスと台本を見て、カン・チェユンというキャラクターが大きく脚色されていると感じました」
チャン・ヒョクがチェユンを演じる上で重要ととらえたのは“ストレスとノイローゼ”だ。捜査をしなければならないという気持ちと、世宗に対抗しなければならないという気持ちがせめぎ合い、ストレスやノイローゼとして表現されているのだ。
チェユンが感じた葛藤は、視聴者が抱く気持ちとリンクし、物語へのいっそうの感情移入を促してくれる。(ページ3に続く)
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