ファクション時代劇の隆盛
2つ目は2000年代に入り、それまでの大作主義から離れ、歴史に埋もれていた女性や身分の低い人を取り上げた壮大な成長物語が作られたことです。
その好例が『宮廷女官 チャングムの誓い』『ファン・ジニ』『トンイ』です。長今(チャングム)や『トンイ』の主人公の淑嬪(スクピン)・崔(チェ)氏は、「朝鮮王朝実録」に少しだけ出てきますが、韓国ではほとんど知られていない人物でした。そんな女性をヒロインに取り上げ、低い身分ながらも努力と創意工夫で自分の夢をかなえていく、という名作ドラマが生まれたのです。
3つ目は、従来の流れをそのまま踏襲するのではなく、新しいタイプの時代劇が登場したことです。『王女の男』が該当しますが、歴史的事実や王朝などの設定はきちんと時代背景に合っているものの、登場人物の中に架空のキャラクターを入れることで物語を大きく動かしています。
こうした作品はファクト(事実)とフィクション(創作)を融合させたという意味で「ファクション時代劇」と呼ばれます。
今やファクション時代劇が隆盛となっており、『太陽を抱く月』『テバク』もそのジャンルに入ります。この傾向は今後もしばらく続くでしょう。(ページ3に続く)