『太陽を抱く月』の成功
このように歴史の不条理さ、かなえられなかった正しさを、視聴者はドラマを通してきちんと理解できるようになっています。
やはり『王女の男』は、俳優、ストーリー、映像美、さらに歴史を問い直すテーマの鋭さがそろった画期的なドラマでした。
人気を博した『太陽を抱く月』はどうでしょうか。
この作品は、朝鮮王朝の枠組みをきっちりと描いていながら、登場人物がすべて架空です。どの時代を設定しているかはわかりませんが、序盤では王の弟が殺されたり、世子の婚約者を決める王朝のしきたりを見せたりしています。まさに本格派時代劇にふさわしい内容です。
その一方で、子役たちが演じるラブストーリーが良かったですし、王朝では隠れた存在である巫女を表に出して王と同じ空間で語り合わせています。いわば、あり得ないことを現実に起こったことのように見せているのです。
そうした点で非常に斬新なドラマと言えるでしょう。
韓国でも全般的にテレビ視聴時間が減っている現在、視聴率が40%を超える国民ドラマになったことは大いに意義があります。今後の韓国時代劇に“希望の光”をもたらしたドラマでしょう。(ページ4に続く)