イ・サンが父・思悼世子(サドセジャ)の助命を嘆願したのは事実なのか?

「父を許してください」

『イ・サン』というドラマの映像を通して伝わってきたのは、イ・サンが父を思う気持ちの強さだった。普通、10歳の子供がここまで親を心配することはできないものだ。
しかし、イ・サンは「自分が死んでもいいから父を生かしてください」と英祖にひたすら懇願している。
10歳の子供がなぜそこまで……。
『イ・サン』というドラマほど、子が親に孝をつくす儒教的な心情を描いた作品は他にないのではないか。
史実でも、イ・サンは父の助命を必死に英祖に願い出ている。
それは、英祖が思悼世子を叱責している場面だった。父が米びつに閉じ込められる前の話である。
イ・サンは、英祖の前でひれ伏している思悼世子の後ろにひざまずいて、祖父に「父を許してください」と必死に懇願した。
これは、まぎれもない歴史的な事実だ。




イ・サンの願いは聞き入れられなかったのだが……。
しかし、こうした史実をドラマ『イ・サン』はしっかり受け継いで制作されていた。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

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