罵声を浴びた仁祖(インジョ)/朝鮮王朝歴史全集10

王の評判は散々

朝鮮王朝は本当にみじめでした。
まず、都の南側を流れる漢江(ハンガン)のほとりで、仁祖は清の皇帝の前で頭を地面にこするようにして謝罪しました。ここまで王が屈辱にまみれたのは、建国以来一度もなかったことです。
それだけではありません。莫大な賠償金を課されたうえに、仁祖の息子3人は人質として清に連れていかれました。その中には世子になっていた長男の昭顕(ソヒョン)もいました。世継ぎが外国の人質になるほどですから尋常ではありません。仁祖はひどく落胆しました。




しかし、もっと怒り心頭だったのが一般の庶民です。
「王が乱れた生活に明け暮れて、国をしっかり守らないから、こんなことになるんだ」
そんな罵声が都に満ちていました。
清に屈伏した責任はすべて仁祖に向けられたわけです。
「こんなことなら、光海君がそのまま王だったら良かったのに……」
そう思った庶民も多かったことでしょう。
仁祖の評判は散々でした。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

仁祖について紹介している『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』(康熙奉〔カン・ヒボン〕著/実業之日本社)

康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化と、韓流および日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』

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