韓国時代劇の華麗なる系譜(後編)

ファクション時代劇

朝鮮王朝の実録ドラマ、実在女性の一代記ドラマ、古代の英雄ドラマという一連の流れがあった韓流時代劇に、新たな潮流が加わったのは2011年である。この年、『王女の男』が放送されて大評判となった。
6代王の端宗(タンジョン)が叔父から王位を奪われるという歴史的背景は史実に合っているが、主人公の2人(キム・スンユとイ・セリョン)は架空の人物である。野史(民間で伝承されてきた歴史書)にはそれらしき人物が出てくるのだが、厳密に言うと信憑性に欠ける。しかし、『王女の男』の制作陣は、野史の記述をうまく生かして、物語を設定している。




『王女の男』は韓国でヒットしたが、事実(ファクト)と創作(フィクション)を合体させた時代劇ということで「ファクション時代劇」と呼ばれるようになった。その後には、『太陽を抱く月』が時代劇歴代視聴率で10位にランクされるほど人気を博したが、登場するのが全員架空の人物ばかりとはいえ、設定が朝鮮王朝のしきたりにぴったり合っているので、このドラマも「ファクション時代劇」に位置づけられた。
さらに、この数年の間に韓国で多かったドラマが、過去と現在をタイムスリップする設定のものだ。『屋根部屋のプリンス』が代表的だが、そういうドラマが増えた背景には、日本で大ヒットした『JIN―仁―』の影響があった。あのドラマが韓国のドラマ制作者たちに強烈なインパクトを与え、その手法を生かしたドラマが一気に増えたのだ。

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