朝鮮王朝の初代王物語(中編)

死を選んだ高麗の忠臣たち

太祖は産声を上げたばかりの朝鮮王朝をより強固にするために、有能な臣を求めた。
とはいえ、高麗時代からの忠臣たちは高麗を最後まで守ろうとして、太祖からの呼びかけを無視し、杜門洞(トムンドン)という村に身を隠すようになった。
「我らが忠誠を誓うのは高麗であり、朝鮮などには忠誠を誓えぬ」
彼らは口を揃えてそう唱えると、村から出てこなくなった。意地になった太祖は、部下たちに非情な命令をくだす。




「杜門洞の周囲に脱出口を設けた後に火を放て! いかに強情な奴らでも火に追われれば、出てくるだろう」
太祖の予想ははずれた。
120名いた忠臣たちは誰ひとり、杜門洞から出てくることはなかった。彼らの忠義の心は自身の命よりも重かったのだ。
「彼らの決意を甘くみていた。優秀な人材を無残に殺してしまうとは……」
自らの手で有能な人材を殺してしまったことを太祖は悔やんだ。
ちなみに、この事件がきっかけで、外に一歩も出ないで1か所にこもってしまうことを朝鮮半島では「杜門不出(トムンブチュル)」と言うようになった。

文=慎虎俊(シン・ホジュン)

朝鮮王朝の初代王物語(後編)

朝鮮王朝の国王はどんな存在だった?

朝鮮王朝の後期になぜ王の子供が減ったのか



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